温泉について(種類と効能)
日本には、温泉について定められた「温泉法」という法律があります。
温泉事業者は、人体に有害な成分を含んでいないか成分の分析調査を実施し、都道府県の許可を受けなければいけません。温泉分析書は、利用者が見やすいところに掲示することが義務づけられています。
②定められた19種類の成分が1つ以上規定値に達していること
- 冷鉱泉(25°C未満)
- 低温泉(25°C〜34°C未満)
- 温泉 (34°C〜42°C未満)
- 高温泉(42°C以上)
- 酸性 pH3未満
- 弱酸性 pH3~6未満
- 中性 pH6~7.5未満
- 弱アルカリ性 pH7.5~8.5未満
- アルカリ性 pH8.5以上
泉質と効能
泉質は10種類に分類されます。温泉には成分や、温度、pH値、色、匂い、味、肌触りなど、それぞれに個性的な特徴があり、泉質の違いがわかれば自分に適した温泉を選ぶこともできるので楽しみが広がります
単純温泉: 温泉成分の含有量が少なく、お湯がマイルドで肌への刺激が少ないのが特徴。子供から高齢者、肌の弱い人でも安心して入浴できます。このうちpH8.5以上のものを特別に「アルカリ性単純温泉」と呼びます。アルカリ性の温泉は肌の不要な角質を落とすはたらきがあり、美肌効果があります。
塩化物泉:塩分が主成分なので、入浴すると塩分が肌に付着し、肌の乾燥や汗の蒸発を防いでくれます。よく温まり、湯冷めしにくいのが特徴で、乾燥肌や冷え性の方におすすめです。飲用すると塩辛く、塩分濃度が濃い場合やマグネシウムが多い場合は苦く感じられます。
炭酸水素塩泉:重曹の効果で、石鹸のような洗浄力があり、肌の不要な角質や毛穴の汚れを取り除いてくれます。ナトリウムー炭酸水素塩泉とも呼ばれ、別名「美肌の湯」といわれます。汚れを落とす分、乾燥肌の人は入浴後にカサカサ肌になりやすいので、乳液などで保湿ケアをお忘れなく。飲泉すれば、糖尿病、痛風、肝臓病など、生活習慣病の改善に役立ちます。
硫酸塩泉:切り傷、火傷、皮膚病などに効くことから「傷の湯」と呼ばれます。鎮静作用や血圧の降下作用もあり。含有成分によって「ナトリウム硫酸塩泉」「カルシウム硫酸塩泉」「マグネシウム硫酸塩泉」の3種類に分類されます。温泉成分が肌をコーティングし、しっとりと潤いのある肌へと導いてくれます。
二酸化炭素泉:炭酸ガスを含む温泉で、入浴すると全身に炭酸の泡が付着して爽快感があるのが特徴です。二酸化炭素泉は、温めると炭酸ガスが気化してしまうので、温度よりも鮮度が重要。炭酸で血液の循環がよくなるため、温度が低い温泉でも十分に体があたたまります。飲用すると炭酸の爽やかな咽越しが楽しめ、食欲不振や便秘に効果があります。
含鉄泉: 鉄分を含むので、空気に触れると鉄が酸化し茶褐色に変化します。鉄分が熱を伝えるため体を芯から温め、肩こりや冷え性、月経障害の改善に効きます。飲泉すると貧血症に効果があるので女性には特におすすめです。
含よう素泉:よう素はヨードともいい、強い酸化力で殺菌作用があり、うがい薬や消毒にも使われている成分です。
口に含むと独特の苦味があり、飲用すると高コレステロール血症を改善する効能があります。
酸性泉:pH値が低く酸性度の高い温泉です。殺菌力が強く、水虫や慢性皮膚病の療養に活用されています。皮膚の表面を溶かすピーリング作用があり、肌への刺激も強いので、石鹸やボディソープで体をゴシゴシ洗う必要はありません。貴金属は変色するので、アクセサリー類は外して入浴してください。体に温泉成分を付着させたままにしておくと肌荒れをおこす場合があるので、肌の弱い方は注意が必要です。浴槽から出たらシャワーなどで温泉成分を洗い流すといいでしょう。
放射能泉: 一定量以上のラドンを含む温泉で、ラドンを多く含んだ放射能泉はラジウム温泉と呼ばれています。放射能というと人体に悪影響を及ぼすと考えられがちですが、ごく微量の放射能は人体に良い影響を与えることが実証されています。入浴することにより痛風、慢性胆のう炎、胆石症に効き、温泉中のラドンから放出される微量の放射線を吸入すると免疫力向上の効果や自律神経のバランスが整えられます。
硫黄泉:ゆでタマゴのような独特の匂いがあり、温泉らしさをもっとも感じられる泉質です。古来より万病に効くとされ、生活習慣病の改善に役立ちます。空気に触れると白濁色や黄色調に変色し「湯の花」と呼ばれる沈殿物ができます。温泉成分が凝縮した「湯の花」は、入浴剤として販売されていて、お土産として人気があります。ただし、銀などの金属を酸化させる性質を持っているので、アクセサリー類は外して入浴することをおすすめ。
その他: 泉質名には分類されていませんが、温泉には「メタけい酸」が含まれているものもあります。「メタけい酸」は天然の保湿成分で、肌のセラミドを整える作用があります。 美容成分が皮膚をコーティングし、ツルツルの美肌にしてくれるといわれ、温泉1kg中に100mg以上「メタケイ酸」が含まれていれば、美容効果が高いとされています。
湧き出したままの成分を損なわず、新鮮な状態で浴槽に温泉が注がれていることを「源泉かけ流し」といいます。適温が保たれた源泉かけ流し温泉を実現するのはとても難しいので、各温泉施設ごとに工夫を凝らした設備が導入されています。
かけ流しとは?
- 新しいお湯を常に浴槽に注いでいること
- 注がれた分だけのお湯が浴槽の外にあふれていること(オーバーフロー)
- あふれたお湯は決して浴槽に戻さないこと
- 湯量の不足を補うために、浴槽内で循環ろ過させないこと
*完全な源泉100%かけ流しとは、循環・加温・加水・塩素消毒等を一切せず、湯量だけで温度調節を行い、本来もっている温泉成分の効能をダイレクトに感じられる温泉のことを指します。
温泉のシナジー効果
温泉による効果は、泉質成分の影響だけではありません。いろいろな条件が組み合わされることによって素晴らしい効能を発揮しています
主な一般的適応症は、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消火器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進などです。
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